【川畑】テスト
2022.01.25 10:44
Q.目標達成は、支店長に与えられた大きなミッションの一つです。自身がプレーイングマネージャーとして率先して取り組むことはもちろんですが、部下が積極的にかかわり貢献してくれる環境が理想です。しかし、指示を出しても思うように成果にはつながりません。何か良い方法はないでしょうか。
A.他人に影響を与えるとは「場を支配する」ということですが、権力だけの影響力ではなく「場を動かす」もしくは「人を動かす」コミュニケーションでの影響力も、これから組織を動かすうえでさらに大切になっていきます。
人は、同じ内容でも信用した相手の話には耳を傾けます。上司と部下の関係性にはお互いの「信頼」がなければ相手はなかなか動いてくれません。信頼関係の構築には時間がかかります。だからこそ積み木をつみあげるように、コツコツとお互いに日々、信頼残高を増やす必要があります。関係性ができあがっている相手には影響力を及ぼしやすいのです。
また、人は同じ内容でも「自分と関係がある」と思った話にしか興味を持ちません。自分にとって役に立つ話である、価値があると感じた話には耳を傾けます。つまり自分事として受け取れる内容であれば影響力を及ぼすことができます。
影響力のあるリーダーは、部下が「どのようなことを学びたいのか」「どのようなことをやってみたいのか」をよく知っています。だからこそ、その欲求にスイッチを入れるようなコミュニケーションをとり行動をおこさせます。相手の関心に沿いながら現在の仕事を「自分に関係がある」と感じてもらい、前向きに動いてもらう影響力をもっているのです。
影響力はもちろん言葉だけではありません。言行一致していなければ、すぐに信頼残高は減少してしまいます。何をしているのか行動が見えにくい、もしくは言行一致しているように感じない、言葉が伝わってこない、人間力を感じられないということがあると、今の時代のリーダーは、影響力を与えることができないのかもしれません。リーダーの言葉や行動に未来を感じる、自分を新しい世界へと導いてくれるという期待ができれば、人を動かすことができます。
影響力とは「他人を大切に扱う」ことが原則だと思います。周りの人を大切にすることによって、リーダーは色々なことを学ぶことができます。そして、自ら自分の力を使ってほしい部下が多く集まれば「場は動く」のではないでしょうか。若手であっても、未来を託したいと思う上司や同僚が集まれば「場は動く」はずです。
本当の影響力とは、他者に「対して」ではなく、他者を「通して」行使されていくことではないでしょうか。
そして、影響力を磨くことによって、より良い時代を切り開いていくリーダーがどの世代からも出てくることが課題でもあり、願いでもあります。
Q.心構えとしては理解しました。そのような関係を構築するために、何をすればよいでしょうか。
A.その1つの方法として部下と行う1on1があります。これまで、多くの企業でマネージャーがメンバーと面談する目的は、目標の進捗状況や表層的な問題の確認など、メンバーを評価する上での“確認”であったのではないでしょうか。
しかし、これから持続可能な企業となり、離職率の低い組織に変化にしていくために上司がすべきことは、部下と頻繁に意味あるコミュニケーションをとりながら、部下自身が主体的に考え、動けるようサポートすることです。今までのような、「教える(ティーチング)」ではなく、「コーチング」や時には「カウンセリング」のコミュニケーションスキルが必要になり、部下の“モチベーションコントロール”が求められます。また、上から目線のコミュケーションではなく対話中心のコミュニケーションが必要です。以下の点に注意しながら1on1を行うことが大切です。
- 安心・安全の場をつくれたか
- 7割から8割、部下の話しを聞けたか(部下が話す割合)
- 自分自身を自己開示できたか
- 部下の内発的動機を確認することができたか
- 部下の仕事やプライベートに対する現在のストレスを聞くことができたか
- 今後のキャリアについて伴走して一緒に考えることができたか
- 目標について主体的に発言させることができたか
- 部下の強みにフォーカスしてアドバイスすることができたか、またはプラス思考で聴くことができたか
- 1on 1終了後、部下の表情はすっきりしていたか、満足していたか
- 次回に向けてスモールゴールを共有でき、励ましの一言を言えたか
1on 1はすぐに結果がでるわけでも、またすぐに上手にできるようなものではありませんが、試行錯誤しながら続けていくことが重要です。